将来の慢性疼痛に影響する?幼少期の育児スタイルとは

こんにちは。ささやんです。

私の勤務する整形外科ではペインクリニック科もあるため、「どこに行っても治らない」というような慢性疼痛で悩まされる患者さんが来ることがあります。

これまでに他の記事でも紹介したことがありますが、慢性疼痛というのは器質的な問題(生物学的要因)のみならず、人間関係や仕事のトラブルなどを含めた心理社会的要因が大きく影響して発症し、難治化することが言われています。

その中には愛着障害など幼少期の養育に関する問題なども含まれており、非常に根深い問題となっています。

そこで本日はこちらの論文の内容を簡潔に紹介。

Parenting style during childhood is associated with the development of chronic pain and a patient’s need for psychosomatic treatment in adulthood

英論文ですが、著者は九州大学医学研究院の柴田先生、九州大学病院心療内科の細井先生のチーム。

この研究では「痛みのない地域住民」「慢性疼痛のある地域住民」「慢性疼痛のある外来患者」「慢性疼痛のある入院患者」の4つの群に分け、それぞれの幼少期における養育スタイルをPBIを用いて調査。

PBIとは父親、母親のそれぞれの養育スタイルを25項目の質問から調査します。質問の内容は大きく分けると「養護」「子どもの心理的自律の否定」「子どもの行動の自由の促進」の下位尺度から成り立っています。

「養護」と「過干渉」に関しての項目の点数によって、養育パターンの特徴が示されます。

今回のこの研究では、養護スコアが「慢性疼痛のある入院患者」「慢性疼痛のある外来患者」「慢性疼痛のある地域住民」「痛みのない地域住民」の順に高く、また過干渉スコアは同様の順番で高かったという結果が出たとのこと。(父親、母親共に)

また痛みのない地域住民を基準としてオッズ比を見ると、母親から「低養護」「過干渉」の養育スタイルを受けた確率は、慢性疼痛を有する地域住民、外来患者、入院患者でそれぞれ有意に高く、また父親のスコアでも有意であったのは入院患者のみではあったものの、同様の傾向が見られたとのこと。

以上のことから、幼少期の両親からの養育スタイルが中年期以降の慢性疼痛に影響している可能性があるということを今回の研究では示唆されたとのことです。

 

このような報告はまだまだ少ないのが現状ですが、PBIを用いた研究は精神疾患などを含めていくつか報告されており、「低保護・過干渉」の養育スタイルが最も不適切で望ましくない影響を与えることが示唆されています。

幼少期の環境は本当に重大です。各家庭の問題になりますし、介入は非常に難しい部分であるかもしれません。しかし地域社会という広い視点から、そうした問題解決のためにできることを考えて取り組んでいきたいですね。

 

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