整形外科クリニックでの臨床雑記③

その2からの続き

 

徒手療法のメリットはたくさんあげられるが、デメリットも当然ある。
その最たるものは「してもらわないと」という他者依存性が強まる可能性ではないか。

これが強まることで負の連鎖が強化されるタイプの患者さんがいる。心理社会的要因の強い慢性疼痛患者さんである。

僕が6年目になった時に新たに移ったクリニック(現職場)は、ペインクリニックもあるため慢性疼痛の患者さんがこれまでよりも比較的多い印象がある。(ちなみにこの頃に、新卒の時から行ってきた高校でのトレーナー活動に終止符を打った。)

この職場の主任(同期)のユッタ先生は、以前の職場でロペスさん(江原先生)の後輩にあたり、慢性疼痛に関する知見も持っていた。そんなユッタ先生からの教えも受けながら、僕は心理社会的疼痛の勉強に対する必然性を感じたのだった。

ガイドラインはもちろん、ロペスさんのブログなどを読んでいく中で「理学療法」の分野に限らず「人間とは何か?」という理解を深める必要性を感じ、あらゆる切り口から「人間とは?」という一つの問いに対する考えを深めていった。

そうしていくうちに「その場で痛みを解消する」という達人のような技術を磨くことにもあまり興味を持たなくなった。
もちろんその場での変化も大切であるし、良くなるなら一発で良くすることに越したことはない。過去に持っていたその考え方は間違っていないと思う。しかし妥協したわけではないけれど、こう考えるようになった。

相手の症状は、これまでの人生の結果として出ているものである。人間とは「個」として存在しているわけではなく、必ず「関係」の中で存在しているのである。その社会的な繋がりも含めた中で、どこかの歯車が少し狂っているから「痛み」は出現しているのだ。
「痛み」というのは情動である。であるならば肉体ばかりを見ていたところで、捉えることのできるものは「痛み」ではないのだ。外来整形では「痛み」と向き合わなければならない現場である。だからこそ肉体に固執せず、患者さんの社会的背景までをも含めた「歯車」を修正することが、理学療法士としての関わりで必須になるのではないだろうか?

「人間とは何か?」

その問いを持ち続けることは、外来での理学療法士には必要不可欠(どの分野でも必要だと思いますが、特に慢性期になるほど症状に絡む要素が複雑になるので必要のように感じます)

 

そんなわけで、3回しリーズで長くなったし、あまりまとまっていないけれど・・・
僕はこの10年間で何度もパラダイムシフトが起こりました。自分が「これだ!!」と思って突き進んだ道を、何度も修正しました。

「痛み」というのは複雑で、正直まだまだ良くならない患者さんもいます。
だけどこれまでに視野を狭くしながら向き合ってきたからこそ、適応・不適応が判断できるようになった部分もあります。

そんな今だからこそ言える、外来整形での理学療法で最も大切なことは、適切な治療選択をするということ。「効果ある治療は、適切な判断によってもたらされる」ということです。

 

自律神経の不調がある人の動作を変えても、症状の改善は難しい。

心理的な問題がある人に徒手療法をしても、症状の改善は難しい

目の前の患者さんは、一体どんな背景で今の症状が出ているのか?
どういった要素が最も強く症状に影響しているのか?

そんな観点を大切にしながら臨床をしている今の僕が伝えたい「外来整形外科での理学療法」

12月5日の夜に開催します。

外来整形外科のための評価・治療

ご興味のあるセラピストの方は是非お会いしましょう!

 

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA