発達障害・発達の凹凸〜スペクトラムとは何なのか?〜

近年は以前と比べても発達障害という言葉をよく聞くようになりました。

昔はあまり理解されていなかったことが研究などによって分かるようになり、2005年には発達障害支援法も制定されました。その2年後の2007年には特別支援教育が学校教育法に位置付けられています。

「発達障害っていう言葉は聞いたことあるけど、あまり深くは知らない」
本日の記事は、そんな方に向けてざっくりと発達障害って何?ということが分かるようにまとめています。

要点
・発達障害は個人の特性である
・原因は遺伝子と環境因子
・精神遅滞は言葉や学業の遅れが
・自閉症スペクトラム(ASD)は対人関係や社会への適応の難しさ
・注意欠陥/多動性障害(AD/HD)は落ち着きや集中力を保つことが難しい
・乳幼児期から発達段階によって様々な特徴がみられる

発達障害・発達の凹凸って?

発達障害のことをよく発達の凹凸と表現しているのを見たことはありませんか?
これはどういうことかというと、意味としては得意なこと(凸)と苦手なこと(凹)の差がとても大きいということのようです。

例えば
読書は何時間でも集中しておけるのに、人の話を集中して聞くのは苦手
とか、
計算は得意だけど、国語はすごく苦手
など

でもよくよく考えると、これって誰にでもある個性じゃありませんか?

そうなんです。発達障害というとなんだか「障害」に対する線引きのようなものがどこかにありそうに感じますけど、実はそうじゃなくて明確な境界などないスペクトラムな(曖昧な境界で連続性がある)ものなのです。

なのでよく発達障害のグレーゾーンなどの言葉も聞くと思いますが、結局は個人の特性を社会がどこまで受け入れるか?によって、白にも黒にもなるわけですよね。

発達障害のある人は、環境が変わることで生きやすくなったり、逆に生きにくくなってしまうことがあります。

学校などは学業や集団行動など足並みをそろえるという方針が強いため、学童期などには苦労する人が多いのが実際のところではないでしょうか。

社会人になり、自身の特性が非常に強みとして活かせる仕事と巡り会えた方は、第一線を走る成功者となることも少なくないでしょう。あのイチロー選手はアスペルガー症候群であるとの指摘もありますし、歌手の米津玄師さんも学生時代は自閉症で苦しんだとのエピソードがあるようです。

生きにくさを抱える子ども達がいる一方で、社会のあり方を私たち大人は考え直し、可能性のある社会を創っていくことが大切なのではないでしょうか。

 

発達障害の原因とは

では発達障害の原因ってなんなのでしょう?
これは先ほども言ったように個人の特性のようなものなので、障害の原因というよりも個性は何によって作られるのか?を考えてみましょう。

それは遺伝環境と言われていますよね。

発達障害は非常に遺伝しやすいと言われており、家族内にも発達障害を持つ人が多くいることが報告されています。(神保 2015)

ただ発達障害に限らずですが、遺伝子というのはその遺伝子が発現するかしないか(ONになるかOFFになるか)は後天的な環境によって決定される側面もあると言われます。

近年は爆発的に発達障害と言われる子どもが増加しているとも言われており、その原因は遺伝要因だけでは説明することはできず、環境要因として内分泌撹乱化学物質の関与が疑われています。社会の中に存在する環境化学物質(ダイオキシンや農薬、タバコなど)の影響などがあるのではないかと現在研究中とのこと。(木村 2014)

 

発達障害の分類

自閉症、アスペルガー、ADHDなど、言葉は聞いたことあるけど、それぞれの特徴がよくわからないという人のために、ここでおおまかにその分類を紹介したいと思います。(DSM-Ⅴに基づく分類)

きっと読んでいる人の中には「これ自分もそうかも」というような特性が当てはまる人もいるかもしれません。先ほども紹介したように、発達障害は連続性のある個性のようなものなので多くの人には当てはまる性質もあるのです。

自閉症スペクトラム障害(ASD:Autism Spectrum Disorder)

自閉症スペクトラム障害はコミュニケーションや社会的相互関係を構築することが苦手という特性があります。スペクトラムと書いてある通り、これは誰にでも多かれ少なかれ当てはまる連続性のある特性です。1000人に9人〜10人ほどの割合で存在すると言われています。

この特性を持つ子どもは他人の気持ちを想像するのが苦手で、友達を作るのが苦手だったり集団で遊ぶことを嫌う傾向があります。また特定の物事に対するこだわりや執着があり、物が常に同じ場所に置いていないと嫌がったり、出かける時の道順がいつもと異なることなどを嫌がるといった傾向があると言われます。そのため日常の習慣を邪魔されると強い不安を感じることなどがあります。

自閉症の中でもアスペルガー症候群と言われるタイプ人は言葉の遅れや知能レベルの低下もなく、先ほども紹介したように著名人など一流の成功者にもこのタイプの人は少なくないのです。

こだわりの強さは集団生活に馴染めないなどの悩みが出てくる側面もあるかもしれませんが、それは長所でもあり非常に類い稀ない才能を発揮することもあります。昔と比べればテクノロジーの発展などにより、その特性を生かした仕事ができる社会にもなってきていると思います。今後さらなる社会の進化に期待したいですね。

 

学習障害(LD)

学習障害の子どもは、知的障害とは異なり知的能力に障害があるわけではないものの、字を読むのが苦手であったり、書き取りができなかったり、数学が苦手であったり、推論することが苦手など、限局的に学習が困難になるような状態となることがあります。

全体的な知的能力に問題があるわけではないので、学習の支援などによって十分に高校や大学へ進学し学位をおさめることも可能とも言われています。

 

注意欠陥・多動性障害(AD/HD)

皆さんもクラスに何人か「落ち着きがない子」や「授業中に座っていられない子」が小学生の時などにいませんでしたか?

AD/HDとは注意欠陥(忘れ物をしやすい、すぐに飽きてしまう、集中力が続かないなど)と多動性(じっとしていられない、ずっと喋っている、順番を守れない)などの症状があります。
その出現率は10人に1人とも言われているので、クラスに3人くらいはいたのではないかと考えられます(僕もその性質は少しあると思います)

物忘れなどで生活に支障をきたすような場合に、こう言った障害名をつけられるかと思いますが、生活に支障がなければ問題なく過ごしている方も多くいることでしょう。逆に特定のものに関しては非常に高い集中力を発揮することもあり、ADHDと言われながら活躍されている著名人も多くいると言われます(長嶋茂雄さんやサカナくんなどが有名ですね)

周りの人も、その特性を理解した上でサポートしていく工夫(スケジュール表を作る、持ち物チェックリストを作るなど)ができると、日常生活での支障も減り本人もストレスを軽くすることができるかもしれません。

 

乳幼児期にみられる特徴

ここまで分類を紹介してきましたが、これらは綺麗に分けることができるものではなく、何度も言うように連続性のある個人の特性のようなものなので、様々な個性が入り混じっていると思います。

発達障害の最大の特徴は、幼少期からその傾向が見られるということ。
つまり「育て方が原因で発達障害になる」というのは間違った情報であり、やはり遺伝的な要因+子宮内での環境要因などが示唆されているのが現時点での科学的な報告です。

では乳幼児期にどのような特徴が見られると、発達障害が疑われるのでしょうか?
以下にその特徴を列挙したいと思います

・人に興味を示さない
・目が合わない
・感覚が過敏
・つま先で歩く
・シャッフリングで移動
・偏食
・指差しをしない
・落ち着きがない
・不器用
・喋らない
・喋りすぎる
・遊び方がワンパターン
・集団に入れない
・感情の起伏が激しい

繰り返しになりますが、こう言った特徴は誰にでも見られるものでもあります。
しかし発達障害と診断されるお子様に特徴的な行動でもありますので、こう言った様子が見られるようでしたら一人で悩まずに早めに専門機関にご相談されると良いかもしれません。

 

発達障害の人に向いている職業

最後になりましたが、自信やお子さんが発達障害だからといって不安になる必要はありません。何度も言うように、社会とうまくマッチすれば非常に高い能力を発揮する可能性があるのがこの特性でもあるのです。

そこで最後に、ここまで紹介したような特徴のある方々がどんな職業が向いているか?などを簡単に紹介したいと思います。

1.専門性・マニアックな職業

専門知識やひらめきが活かされる研究者や学者などは非常に向いていると思われます。実際に研究者の方や大学の教授などはこだわりの地良い特性を持つ方が多いのではないでしょうか

2.才能を必要とする職業

芸術家、デザイナー、カメラマン、イラストレーター、 スタイリスト、漫画家、建築家などのクリエイターと言われる職業はこだわりが強いことが強みにもなります。最近はこう言った職業の方々のニーズも高まっていて、可能性のある領域ですよね。

3.刺激と変化がある職業

ジャーナリスト、消防士、救急救命士、 新聞・雑誌などの記者などは日々単純作業の繰り返しということはなく、新たな刺激と常に出くわす仕事です。多動の方などは、その好奇心や体力を十分に生かすことができるのではないでしょうか。

4.対人ではない職業

プログラマー、自動車整備士、技工士、電気技師、料理人など、対人でない仕事は、コミュニケーションが苦手なタイプの方には相性が良い仕事ではないでしょうか。これらの仕事はこだわりが強い人ほど成功する可能性も秘めており、発達障害と言われる気質のある方には向いているのではないでしょうか。

 

この記事を読んでくださった方で、何かしら不安を抱えて調べていた方がいたら、ぜひ発達障害と言われる個人の特性に対して、希望も持っていただけたらと思っています。
時代の変化とともに、可能性が広がっています。社会とマッチすれば、大きな光が見えてくるのではないでしょうか?

何かご相談などがありましたら、いつでもご連絡くださいね。

 

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